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 ホオノキ 

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広葉樹 針葉樹 ・ハルニレ ・ハンノキ ・ヒノキ ・ヒメコマツ ・ホオノキ

科目 モクレン科 ホオノキ属 広葉樹
色調 ホオノキの材は辺材と心材の区別が明瞭で、辺材は幅が比較的狭く灰白色を呈し、心材はくす んだ灰緑色で他に似たものがない独特のおちついた色調をもっている。
特徴

横断面で見ると道管の 孔がおおよそ均等に分布している散孔材で、全体に均質でまた緻密(ちみつ)であり、さらに広葉樹材のう ちでは木理も通直な方である。
しかし重さ硬さはむしろ軽軟といった方に入り気乾比重は0.49 程度なので、加工はきわめて容易である。
含水率1%あたりの平均収縮率は接線方向で0.25% 程度でこれも広葉樹材では小さい値であり、放射方向の1.7倍だから両者の間の差も少ないの で、割れや狂いの出ることが少なくすこぶる素性のよい材であるといえる。
そのほか工作上で は乾燥が容易であること、割裂性が大きいこと、材の表面の研磨や塗装の仕上げがうまくでき ることなどの特徴があげられよう。

用途 板物ホオノキ材の最高の名声を保っていたのは製図板であろう。
もちろんこれは素材のままで 使う時代のことであって、昨今のように合板を使うことになってきては、一般にはシナノキ合 板、上等品はヒノキ・スライスばり合板にほとんどその席をゆずってしまったものと思われる。
裁(たち)板はカツラが多く用いられるが、これはカツラ材 に大材があるからであって、上等品はホオノキであった。俎板は上等品は ヒノキ、一般品はスギの他 にあまり硬くない広葉樹材 なら何でも用いられるが、ホオノキはそにのうちでも上等の方に属する。
刃先を痛めないからだ という。
刃物鞘にとくにホオノキを賞用するのも、材に欠点がなく狂いが少ない上に刃物を痛 めぬということによるものである。
朴歯の下駄といえば明治のよき時代の書生さんを思い出す。
朴歯はおもに高下駄と駒下馳の中間の晴雨兼用・日和下駄に使われたもので、かつてはホオノ キ材の最大の用途でもあった。
会津若松、越後村上など漆器の産地ではホオノキは素地材の最 も良いものの1つであった。
ホオノキは樹形がよく、葉・花の大きく豪壮なことから造園樹として公園や庭に植えられ、ま れには街路樹になっていることもある。
木材原木としては径があまり大きくないが、材が軽軟 で欠点が少なく素性がよいことから器具材、建築材(内部装飾材)、機械材、家具材、建具材、 箱材、運動具材、彫刻材などと何にでも広く用いられる。
しかし産出量が多くなく他の樹種に 見られない特質があるので、むしろ指物(さしもの)、寄木細工、漆器の素地、製図板、定規、 下駄歯、刃物鞘といった特殊な用途がホオノキ材の本領といえよう。
ホオノキの木炭は均質なので金、銀、鋼、漆器などを磨くのに用いられ、とくに印刷用銅版研 磨にアブラギリ炭とともに必要なものとされている。
これは白炭に近い作り方で製炭されたも のを使う。
また昔は眉墨に使われた。
樹皮を乾燥したものを生薬とし、和厚朴(わこうぼく)といっている。もともとわが国でホオノキ に厚朴および浮爛羅勒をあてるのは正確でなく、厚朴の本体は中国産の (マグノリア・オフイキナーリス)である。
厚朴および和厚朴はともに magnolとmachilolという成分を含み、利尿、去淡、腹痛、胸のつかえに用い、また駆虫の効 があるという。
ホオノキの果実を干したものが和厚朴実で、芳香があり、これも樹皮と同し ように使われるようである。

参考文献 (かなえ書房 木の事典)

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