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 国産材用途と性質
 
 
 木の性質と使い方 NO2 

問題はないのか?
これまで木の利点ばかり挙げてきましたが、欠点だってたくさんあります。消費者として、”木のもの”と賢く付き合うためにはマイナス面も知る必要があります。ここでは欠点を整理することにしましょう。
 
■ 品質のばらつきが大きい
木は生物材料ですから、同じ樹種でも産地や立地条件によって品質にばらつきがあります。節もあります。
じっくりと丹念に物をつくる時代には、木の癖を読みながら建築物をつくっていました。奈良の薬師寺の宮大工棟
梁、西岡家の口伝に次のような一筋があります。 
塔組みは木組み
木組みは木のくせ組み
木のくせ組みは人組み
人組みは、人の心組み 
木のものづくりは、本来こうあるべきでしょう。しかし、現代の私たちの住まいづくりにこれを望むことはできません
。そこで今、これに代わって行われようとしていることは、強度的に品質を揃える作業です。製材された木に力を
加えて少し曲げると、曲げヤング率(たわみにくさの指標)が求められます。この値は強さに比例するので、破壊
することなく一本一本の部材の強さに応じて品等区分すれば、信頼性の高い家具や住宅がつくれます。木に限ら
れたことではありませんが、物の個性を知る時代がきたというべきでしょう。その上で適材適所に用いることが大
切です。
 
■ 反ったり割れたりする
木は使用中に反ったり、割れたりすることがあります。厚板でつくった高価なものほど、反りやすいからやっかい
です。実は、板には反りやすいものと反りにくいものがあります。一般に板目の板はよく反りますが、柾目の板は
反りません。板目の板は漢字で木が反ると書くほどですから反って当然ですし、柾目の柾は正しい木と書くほど
ですから反るはずがないのです。調理に使うまな板は、柾目になっていることをご存知でしょうか。反ってしまって
は使い物になりませんから。木が反る理由は、木が吸湿したり乾燥するときに伸縮するからです。この伸縮率は
年輪に沿った円周方向で最も大きく、樹心から樹皮に向かう半径方向は円周方向の約2分の1、樹木の高さ方向
にほとんど伸縮しません。 板目材が反るのは、乾いたり湿ったりするときに年輪に沿って円周方向に、まるで扇
が開閉するように伸縮するからです。この方向に伸縮しても柾目材は反りません。板は生木から乾燥した木から
つくった製品は狂いにくいのです。丸太や心持ちの柱は乾燥するとき発生する力でしばしば割れてしまいます。こ
こでも木は実に人間的です。ストレスがたまり過ぎると木も壊れるのです。そこで住宅の柱には背割りと称する切
り込みが入れてあります。あらかじめ目立たない箇所を切っておけば、もう別の箇所には割れが入らないのです
■ 腐ったり、シロアリに食べられたりする
木は植物が光合成によってつくり出した炭水化物でできていますから、条件さえ整えば腐ったり、食べられたりし
ます。木はある種の菌種やシロアリにとって大切な栄養源なのです。しかしシイタケを採るためならともかく、大切
な住まいが腐ったり食べられたりしては大変です。何としても、これを阻止しなければなりません。
対策の第一は適を知ること。木材中において、腐朽菌やシロアリの繁殖に必要なものは、温度、水分そして酸素
。この三要素の一つでも欠ければ、もう繁殖できないのです。温度と酸素については、そこで私たちも暮らしてい
るのですから絶つわけにはいきません。しかし水分については、普通の湿度条件を維持しさえすれば、腐朽菌や
シロアリはほとんど繁殖できないのです。これなら、日常の注意で何とかなりそうです。例えば、屋外からの湿気
に対しては、雨濡れを防ぎ、床下の風通しをよくし、木が直接地面に触れないようにします。また、住居内で発生
する湿気に対しては、これをうまく屋外に逃がす工夫が大切です。この場合、風呂や台所が要注意箇所です。配
管の水濡れも放置しておくと大きな被害を受けることになりますから、早めの処置が必要です。木の住まいにとっ
ては、とにかく水が大適です、乾いていさえすれば、法隆寺の例を挙げるまでもなく、1000年以上も腐ることはな
いのですから。最近の木造住宅は、防水技術が発達したとはいえ、軒の出の浅さが気がかりです。これは主に土
地事情によるものでしょうが、雨の国、日本の住まいとしては心もとない気がします。
 
■ 木は燃える
木は植物がつくり出した炭水化物の魂ですから、当然よく燃えます。燃えて再び二酸化炭素と水に戻るのです。
日本でもほんの数十年前まで、木は大切な燃料でした。多くの開発途上国では、現在でも燃料を薪に頼っており
、そのための伐採も併せて、土地の砂漠化の一因にもなっているほどです。木を建築材料として使用するとき、
燃えやすいということは火災の危険が高まるので、大変不都合です。そこで木造の場合、不燃材料との組み合わ
せによる防火性能の向上、木の体質改善による難燃化などの研究が精力的に進められ、その成果が実用化され
ています。 木を建築材料として使用するとき、燃えやすいということは火災の危険が高まるので、大変不都合で
す。そこで木造の場合、不燃材料との組み合わせによる防火性能の向上、木の体質改善による難燃化などの研
究が精力的に進められ、その成果が実用化されています。そのおかげで、かつて春先にしばしば起こっていた大
火が、最近はすっかり影をひそめました。もちろん、これには消防システムの発達も寄与していることはいうまで
もありません。今では、骨組みが木造だから燃えやすく危険というのは、事実に反することがわかってきました。
断面の大きな柱や梁は表層部の炭化層が断熱層の役割を果たし、燃焼の進行を妨げます。また、火によって温
度が上昇すると、軽量鉄骨は軟らかくなってしまいますが、木は硬いままです。したがって、太い木の柱や梁でで
きている構造体は火事のとき鉄骨造より丈夫なのです。このため避難や消化活動の視点からは、鉄骨造よりも
安全性が高くなります。また、化学繊維やプラスチックと違って、燃焼時に有毒ガスを発生することもありません。
このことは廃棄時の大気汚染防止の観点からも重要です。
 
木のかしこい使い方
 
■ DIYのすすめ
木のかしこい使い方をマスターするにはDIY(Do it yourself)が何よりです。最近ではちょっとした補修工事でも人
権費は高いし、なかなか来てくれないし・・・。こんなとき、いっそのこと自分で補修や手入れをしてはいかがでしょ
う。週休二日制が普及し、週末は自宅で過ごすゆとりもできたでしょうから。木は木材店やDIY店で売っています
。とくにDIY店は木を手にとって確かめながら、必要なものだけを選べるので、木を見る眼が育ちます。接着剤、
金具のほか道具類も同時に買うことができます。木に図面を描き、その線に沿って切ったり、穴をあけたり。この
創造的作業、最初は時期どおりの仕上がりにならないかも知れません。汗もかきます。しかし、手づくりで完成さ
せた満足感は他に変え難いものです。とくに家族との共同作業で行ったものならなおさらでしょう。
*****郊外の戸建住宅に住むAさん。あるとき、庭に7平方メートルばかりのデッキをつくることにした。アウトドア
ライフを楽しむためである。近くの店で材料を購入し、週末を利用して1カ月程で完成させた。費用は1カ月のこづか
い程度だという。できあがると、子供は新しい遊び場ができたとばかり近所の仲間も連れてきて、デッキの上で遊
ぶようになったとか。おかげで、Aさんはまだこのデッキの上で昼寝もさせてもらえないそうだ。また、奥さんは芝
刈りや草取りをしなくてすむようになったので、庭の手入れが楽になったという****
 
■ 部屋の模様替えするとき
壁紙や床仕上げ材料はしばしば貼り替えたり、取り替えたりします。壁紙にはビニール系を使うケースがほとん
どですが、従来のものは浸透性が十分でありません。合板などの木質フローリングで仕上がることが多いのです
が、透湿性能を明記しています、購入するときに選択できます。住まいの床は木質フローリングで仕上がることが
多いのですが、しばしば敷物が置かれます。そうすると敷物が滑ったり、端の部分でつまづいたりして転倒しやす
くなります。木の床との摩擦が大きく、めくれあがりきくい敷物を利用したいものです。老人がいる住まいでは、とく
に注意が必要でしょう。厚生省の人口動態統計によると、家庭で転んで亡くなる人が年間700人。そのほとんどが
老人です。
 
■ 家具を購入するとき 
サイズやデザインにばかり目を向けがちですが、構造や安全性も大切です。例えば重いものを載せる棚板はた 
わまないように丈夫でなければばりません。食器棚やベビーダンスの場合には合板からのホルマリン放出も安全
上問題になりますから、無臭合板の製品を選ぶべきでしょう。地震時の食器の落下は危険です。食器棚の扉はし
っかりと閉まることが必要です。子供の勉強机は、機能ばかりでなく、眼の健康にも注意を払いたいものです。ツ
ヤのある塗装や、光源が直接目に入るものは眼を傷めます。     
 
■ 新築や改装するとき
木の住まいは高温多湿なわが国の気候に合った住居形態ですが、長期にわたって心地よく過ごすためには最初
が肝心です。せっかくの住まいが腐ったり、シロアリに食べられたりしてしまったら大変です。
土台や水回りの木は必ず、防腐・防蟻処理材(加圧注入したもの)を使用します。また、上屋を建てる前に基礎周
辺部をシロアリ対策のための土壌処理をしておくと効果的です。また、施工現場で防腐処理材を切断したり、穴あ
けしたときは断面に防腐薬剤をハケ塗りするよう、工事責任者に念押ししておきましょう。これだけでも住宅の耐
久性はずいぶんよくなります。もちろん床下の換気や、風呂、台所、洗面所への換気扇の取付けも必要です。昔
の住宅と違い現在の住宅は気密性が高いため、室内で発生した湿気がややもすると滞りやすく、カビ発生の原
因になるからです。最近は木質フローリングの床が多くなっています。美しく、歩きやすくしかも衛生的ですが、上
階の床衝撃音が階下に響くことがあります。とくに子ども部屋が二階のときに問題になります。この場合にはコル
ク製や遮音仕様のフローリングにするとよいでしょう。住宅のエクステリアにも、木製のフェンスやデッキを施工す
る例が増えています。天気のよい日、デッキでの昼寝や読書は気分爽快です。しかし、屋外は環境変化が厳しい
ので部材が傷みやすくなります。そこでヒノキやヒバなど耐久性の高い木を使い、しっかりと防腐処理してから施
工すると、屋外でも15年以上にわたって安心して使えます。
 
■ 住まいのメンテナンス
家具でも住宅でも、木製品はメンテンスの良し悪しで、美しさや耐久性がずいぶん違ってきます。奈良の法隆寺
も1300年間、無傷で建っているわけではありません。この間、何度も修繕されているからこそ美しい姿を今にとど
めているのです。木造住宅のメンテナンスのポイントは水です。屋根や外壁からの雨水の漏れ、雨どいの不良、
床下の湿気、浴室からの水漏れは時々点検が必要です。軽いひび割れぐらいは自分でも補修できるでしょうが、
危ないと思ったら専門家に見てもらいましょう。5月下旬から6月頃、家の周りで羽アリえお見つけたら要注意。す
ぐに専門業者に点検を依頼しましょう。発見が早いほど被害が少ないし、経費も安くつきます。
窓枠の下側は結露水でしばしば濡れます。住宅の気密性が高まるにつれ、結露による被害が大きくなっています
。カビが繁殖して不衛生になるばかりでなく、放置すれば木が腐ってしまいます。晴天時に窓を開け放して、こま
めに換気することが大切です。屋根の妻板、テラス、デッキなどの屋外木製品には防水塗装がしてあるでしょう
が、3年くらいで傷み始めますから、塗り替えが必要です。塗料には木の表面に塗膜をつくるもの(浸透性保護塗
料)の2種類があります。自分で塗り替えする場合は、後者のほうが作業が簡単です。よく晴れた日に、表面のゴ
ミを落としてから塗ります。

 


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